今年の3月くらいまで、仕事のテンポは今までと同じ、暇ではないけれど、忙しくもない、とにかく自分のペースで仕事をしていた。
4月に入って「あれっ?」と思っている間に、ドンドン坂道を転がっていくボールのように勢いがついて止められなくなるほど
バタバタと仕事が入ってきた。
そして、目の前の仕事を片付けることに躍起になっていたら、7月が終わっていた。
7月が終わると、私の住む街には観光客しかいなくなる。
学校が夏休みに突入する。すると、子供を持つ家族は競うようにして旅に出る。
遠い海外に出かけるゴージャスな旅をする家族もいれば、ドイツ国内や近隣諸国をキャンピングカーで移動するアクティブな家族もいる。家族の数だけ旅の形がある。ただ、一つの共通点は、みんなみんな出かける、ということかもしれない。
地下鉄の駅であるポスターの前で私のパートナーは立ち止まった。
「Ferienpass 2016」(休暇パス)
夏休みなどの長期のお休みに家族で出かけられない子供達(6歳から17歳)の子供達が乗り放題の列車のチケットのこと。遠くまで行けるわけではないが、市内とその周辺までは出かけられる。さらに子供向けイヴェント、プール、映画館、美術館や博物館などの入場料が無料で付いてくる。14~15ユーロで買える。
私のパートナーの両親は自営業だったせいで、子供の夏休みだからといって、特別に旅行に連れて行ってもらえなかったとか。
そんな時に、この子供の休暇用パスで一人でいろんなところに出かけたのだそうだ。
一人で地下鉄、バス、路面電車、近郊列車などを自由に乗り継いで出かけるなんて、ワクワク、ドキドキ。
大きな冒険をしているような気がするだろう。大人になった気分で気取って小旅行をすることができるだろう!
何て素敵な計らいだろう!
家族での旅行ももちろんとてもすばらしい思い出になるのだろうけれど、こうした子供の一人旅は心に深く残るだろうなぁ、と思って、私の隣でポスターに見入っているパートナーを顔をみた。
彼はあの頃、そう休暇用パスを使って毎日のように大きな冒険、小さな冒険を繰り返した子供時代に戻っていた。
今日の紹介
この古いライトを、地域の人たちが不用品を出してそれを売り買いするHofflohmarkt(フリーマーケット)で見つけた。
このHofflohmarktは、地域ごとに開催日が決まっていて、申し込みさえすれば誰でも気軽に自分の不要となった物を販売できる。みんなお店屋さんごっこの感覚で楽しんでいるマーケットだ。
もちろん、こうしたマーケットの場合は、子供服やおもちゃ、女性の洋服などが圧倒的に多く、なかなか古い物は見つかりにくい。足を使って見て回るしか方法がない。。。
このライトは、若い女の子が出していた。
ご多聞にもれず、彼女も自分の着なくなった洋服を大量に出して、結構繁盛しているようだった。
私がこのライトを手にすると、
「洋服じゃなくて、こんなに古臭い物が好きなの?」と怪訝な顔をした。
どうやら彼女のお父さんが、おじいさんからもらった物だという。つまり彼女から言えば、ひいおじいさんの使っていたライトのようだ。
「あなたの洋服も素敵だけど、私にはこっちの方が向いてるかも」と即購入。
何せ、仕事の合間に抜け出して回っているのだから時間がない。
買ったこのライトの取っ手を持って、早足に歩いていると、次々におじさんたちに声を掛けられる。
「どこで買ったの?こういうの、他にもあった?」
「いい物買ったね、ちょっと見せてよ!」
挙げ句の果ては、アンティークショップの店主からも声を掛けられる。
「いくらなら僕に売ってくれる?」
こっちはそれどころじゃない、シンデレラじゃないけれど、時間までに仕事場に戻らなくてはならないのだ。
振り切るようにして駆け抜けた。
時間どうりに仕事場に戻って、一息つき、ふと思った。
このライトのせいとはいえ、あんなにおじさんたちにモテモテだっのに、惜しいことをしたなぁ。。。
いろんなライト(懐中電灯)をいままでに紹介しています。お時間があれば、ぜひ見てください!
No Comment