また、寒さがぶり返し、寒がりな私は動きが鈍くなる。

空は暗く、風は冷たい。本当に春なのか。。。と自問する。

空は暗く、風は冷たい。本当に春なのか。。。と自問する。

 

私はパートナーと暮らして、すでに10数年になるので、いい加減、つうと言えばかあと答える仲なのだが、それでも毎日最低一度は彼の何かしらに驚いたり、笑わされたりする。



 

短気なのだが、心根がやさしいパートナーは、悲しい映画に弱い。

鼻の奥がツンとして涙が出そうかなぁ、という場面で、彼はすでに袖口で涙を拭っている。

「火垂るの墓」を二人で観たときなどは、もう嗚咽がもれるほど・・・

「ちくしょう!ちくしょう!」と言いつつ、青い目を真っ赤にしている。

そして、「『火垂るの墓』だけは観るな!」と友人達に怒ったように触れ回る。

 

今朝は一転して良いお天気。風は冷たいが、でも気分は随分と違う。

今朝は一転して良いお天気。風は冷たいが、でも気分は随分と違う。

 

パートナーはホラー映画にも実は弱い。

ホラー映画で何が怖いかと言えば、音だ。不気味なほどに静まり返っていて、突然ガォーと大音響が響く。

すると、彼は映画館の椅子から10cmは浮き上がって驚く。

実は私は彼の空中浮遊にビクッとしてしまっている。

そして、次の浮遊まで彼は何事もなかったように、ポップコーンを頬張っている。

映画が終了すると、「子供騙しのホラーでちっともどうってことなかった」とほざく。あんなに巨体を震わせてビクビクしてたじゃん!と私は思っているが、まぁ、彼の名誉のために言わないことにしている。(ここでばらしてしまっているが。。。)

 

食後には甘いものが必要な彼は、冬眠から目覚めたクマよろしく、徘徊しながらさがし回る。

実は、彼の健康のために、いろんな場所にチョコレートやクッキーを私は隠しているのだが、それを見つけた時のパートナーの顔は、みなさんにお見せしたほど、幸せに満ちている。

そんな時は、私まで嬉しくなってしまうから、かれの健康維持に私は全く貢献できないでいる。

 

チューリップはやはりかわいい。

チューリップはやはりかわいい。

 

普段、パートナーは私の好きな古い雑貨類には見向きもしない。新しいものに常にアンテナを張っている彼には、私の集める古い品は、ゴミと同じくらいにしか思っていない。時には蚤の市に出かけるのを付き合ってくれはするが、それは蚤の市会場のビアガーデンが目的。。。

まぁ、私も趣味は一人で楽しみたい方なので、彼の無関心さはさほど気にならない。

 

それが、今日のこと。

 

彼は自宅で働くことが多く、邪魔をされるのを嫌うので、私はめったに彼の書斎には足を踏み入れない。時には書類の山で足の踏み場もないようになっているみたいだし、時には本が崩れそうに積み上げられていることもある。

今日はドアをノックすると、意外に綺麗に整理整頓された部屋の中は、仕事がしやすいように模様替えまでされていた。

ふと、机の上を見て驚いた。

私の集めているベークライトのペンケースを使っているではないか。

まるで、自分のコレクションかのように、好きな文具を中に並べていた。私は、「エッ?」という顔で彼を見た。

 

「ベークライトの色はいいよねぇ。古いものは実に丁寧に作られているしねぇ。」

 

「あなた、いったいいつから私のコレクションを横取りしていたの?」と少々腹も立ったが、髭にチョコをつけたまま真剣にメールを打っている彼を見ていると、どうにも怒れない。チョコもきっとどこかから見つけてきて、引き出しの中に隠しているに違いない。

 

Dia-positiv

 

今日の紹介は、Mikrolux – Color -Labor Dresdenが製作した、子供用スライド。ベークライトの小さなケースに入っていて、中を開けると、フィルムが出てくる。透かしてそれを観ると、タイトルを含めて15場面の物語が描かれている。

 

Dia-positiv

 

付属の紙を開くと、そこに場面ごとの話が説明されている、と今の子供からすると、何とも原始的な代物だ。しかし、こうしたフィルムを透かしてみたり、いろんなフィルムを集めて、友達同士で見せっこするのは、楽しかったはずだ。

お話自体は勧善懲悪なありきたりの話だけれど、小さなケースに収まったフィルムをポケットに忍ばせている、というのもスパイじみていて、子供の想像を大いに膨らませたのではないだろうか。

 

Dia-positiv

 

パートナーが私のコレクションからちょっと失敬したり、机の引き出しにお菓子を隠し持っているのも、そのスリルを味わいたい子供のいたずらっぽさを感じる。

それならば、だ。

今日いただいた美味しい箱入りのチョコレートは、秘密の暗号でも作ってパートナーにとことん探してもらおうではないか。