お風呂から上がった、パートナーは裸のまま、平気でうろうろとする。
「恥ずかしくないの?」
と尋ねると、キョトンとして私を見て言う。
「どうして恥ずかくなくちゃいけないの?」
真正面からそう尋ねられると、「それもそうだ!などと私も思ってしまうから不思議だ。
こちらの方々(少なくとも私の周りのドイツ人たちは)性に関することに大変おおらかで、開けっぴろげだ。
この間は、パートナーが私に言った。
「ブラジャーはね、乳房を支えるためにあるんだ。君のように何もない場合は、ブラジャーなんていらないでしょう。男がブラジャーをするか?」
男性の胸と比較されたことにむしゃくしゃはするが、こうした発言を真面目に話してくる。ここまで、平気に言われると、
「そんなにひどいこと、言わなくてもいいじゃない」とは言えない。
真剣に、ブラジャーの必要性を考えるようになってしまう。
パートナーが日本で温泉好きになった。
日本では、旅行の度に、あちこちの温泉体験をする。
そんな温泉旅をしていたある日、ぽつりとパートナーは言った。
「ぼくが温泉につかると、みんなあがるんだ。子供達だけが、興味を持ってぼくに近づくけれど、それもその子のおじいちゃんやおとうさんが怒ったような声でその子に上がるように言うんだ。。。」
ちょっと寂しそうに伏し目がちに話すパートナーはかわいそうだった。
そこで、私の義兄と一緒にお風呂に入ってもらうことにした。それならば、パートナーも差別感を感じないだろうと。
義兄は、お風呂から上がって私に言った。
「日本の人たちは、タオルなんかで上手になんとなく前の部分を隠したりしてお風呂に入るんですが、彼は堂々としてて。。。」
絶句ぎみ。。。
つまり、あまりに素っ裸でも平気に堂々としている分、余計に周りが警戒していたらしい。
「あの〜、湯船に一人っきりになって、寂しいとか言っていたけど。。。」と私が言えば、
「まあ何というか・・・さびしそうではないっすよ。。。湯船で泳ごうとしたり、結構大胆というか。。。脱衣室でも暑いから、と素っ裸で扇風機の前を陣取ってですね。。。まぁ、なんというか無邪気な子供といういうか、何というか。。。」
義兄の方がしどろもどろだ。
生粋のヨーロッパ人のパートナーは、周りを見てそれに倣う、というようなことはしない。全くの個人主義なので、周りでどうであれ、自分のやりたいようにやる。温泉でもまさにそれを通しているらしかった。
おおらかで、開けっぴろげで、周囲を気にせず「我が道を行く」。それに慣れてしまった私には彼は好感度抜群だが、普通の日本の方々には少々ウザい存在かもしない。
先週の土曜日、大きな蚤の市が開かれ、そこで見つけた旅行用のグラスカップ。
昔は、道路事情も悪く、列車のスピードもゆっくりだし、乗り継ぎだって大変だっただろう。とにかく、旅行することは、ある意味、困難なことだったの違いない。
旅行用にと何でも携行していたから驚きだ。
その快適を求める人間の飽くなき追求には頭がさがる思いがする。
旅行用の目覚まし時計、
コーヒーミル、
カップやグラス、
果ては家族の写真を収めた旅行用写真アルバムなどまで。。。
必要なものは何でも持って行く、という心意気はすごいが、大層な荷物だったに違いない。
年代は、1900年初頭の物と思われるが、どこで作られたのか、会社名は。。。などの情報は一切ない。ただ、結構頻繁に使われていらしいが、大事に扱われてきていることだけは、手に取った時に感じた。
きっと、男性が列車の中でウィスキーとか、ラム酒などをグラスにそそぎ、流れ行く風景を楽しんだのだろうか。
この夏、パートナーは一人で日本へ出かける。
その際に、この旅行用グラスを持たせようか。。。
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