蚤の市は、週末にどこかで開かれている。
売り手には三種類ある。アンティークショップを開いている、いわゆるプロの売り手、それから趣味が高じていろんなものを集めてはネットやこうした蚤の市で売る、半プロ、そして家の不用品を処分したい、という素人。
アンティークショップを開いていて、週末にこうした市に出す人達の物はハズレはないし、珍しいものにめぐり合えるけれど、何せお高い。半プロの人達は、自分が好きで集めているだけあって、同じ趣味をもつ買い手には共感を覚えるのか、交渉次第で値段が変わる。素人の人達は、自分にとっては不用品なので、案外すごい物を惜しげもなく安い価格で売っているが、そうした「すごい物」を持っている確率はかなり低い。
どの売り手にも一長一短があるのだけれど、一番面白いのは半プロの人達である、と私は思う。
かなり強面のおばさんは、文具をよく扱っている半プロ。一度だけ、そのおばさんから小さな物を値切ることもなしに買った。多分、おばさんには全く印象にのこらなかったお客だったと、私は思っていた。
ところがちょっと前のこと。
遠くからこの無愛想なおばさんが私に手を振っている。近くに行くと
「あんたが好きそうなものが手にはいったから、買いなさい!」
私からするとこのおばさんから一度しか買ったことはないのだし、さらに粘って居座ったわけでもない。どうして私のことを覚えているのか、そちらの方が気になった。
「どうしてわたしのこと、覚えているの?」
「そりゃ、あんた、この前のとき、何度も何度も通りかかっては恨めしげに見て、また通り過ぎたでしょ、覚えたくなくても覚えるよ!」
そうか。。。
その時、おばさんが私に買いなさい、といったのがこれらのインク壺だ。
インク壺 (1940年代)
クリスタルガラス、コルク
h3,5 x w9,0 x d7,5 cm
インク壺(1920年代)
ガラス、真鍮
h6,0 x ø7,0 cm















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