物心ついてから何かしらの抽選に当たったことは二度しかない。

子供の頃、お菓子の箱に印刷された応募券を切り取り、はがきに貼り付けて送った。忘れた頃に「タイガーマスクのマント」が我が家に届いた。マントといっても、小学生の私にも短すぎる安物のビニール製だった。それでも、兄に自慢したくて、きっちりと折り目がついてしまって風になびくこともないマントを毎日着ては、母や姉に冷たい目でみられていた。これが一度目の当たり。

二度目は、大人になってから。歳末大売り出しをしていた小さなスーパーで、小さな抽選会をしていた。大きなスーパーならば、一等はペアでグアム招待とかなのだろうけれど、そこは一等一万円、そのスーパーだけで使える商品券だった。ハンドルをグルッと回すと小さな玉が一つ出てきて、その玉の色で何等かが決まるのだが、その時、なんと金色の玉、つまり一等が当たった。現金ならばへそくりにでもできるのに、その商品券でマヨネーズやお醤油、トイレットペーパーを山のように買ったのを覚えている。

どうやら私はこうした抽選とかの運には見放されているということらしい。

 

ドイツでは、豚は幸運の印だ。「私、ツキについてた!」という時、「豚を持ってた(Schwein gehabt)」と表現する。豚は子沢山なので、子宝や財産に恵まれるという意味もあり、また、14世紀頃、どこかの弓の試合で勝利者に豚を贈ったことから、「幸運を仕留めた者が豚を持てる」、幸運=豚の発想が生まれた、という説も聞いたことがある。

 

豚のピンクッションを見つけた。堂々とした体格なのだけれど、悪事を働くことのできそうのない、少々頼りなげな顔をしている。幸運を運んでくるというより、今ある平穏な生活を守ってくれるようなそんな存在だ。

そうか。。。抽選や宝くじには縁はないが、毎日まあまあ穏やかに暮らせるのは、この豚のピンクッションのおかげなのかもしれない。

 

 

ピンクッション(1900年代初頭)

シルバーメッキ、ベルベット生地

h4,0 x w10,0 x d3,0 cm

小さいけれど、存在感あり。およそ100年以上も前の品。いったい、どんな人たちの元で暮らしてきたんだろう。

小さいけれど、存在感あり。およそ100年以上も前の品。いったい、どんな人たちの元で暮らしてきたんだろう。

豚のピンクッション

リアルなおしりや尻尾もなぜか憎めない。

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ピンクッションにしては存在感、ありすぎ。。。

 

 

 

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