昨日、パートナーの古くからの友人が仕事場にやってきた。
特には親密な友人でもないので、年に何度も会うこともあれば、全く見かけないこともある。
今回も、もう2年近く会っていなかったが、突然彼がやってきたのには、訳があった。
彼は2mもあるかという大男で、さらに大変スマートときている。そして、彼独特のファッションセンスがなかなか様になっていて個性的だ。
話はそれるが、ドイツの北に行けば行くほど、背の高い人が多い。逆に南のドイツ人はずんぐりむっくりな人が目につく。ただでさえ押し出しの強いドイツ人、これに見上げるほどの背丈が加わったら、押しつぶされそうだ。南に暮らしていて良かった。
その昔、私は数年ほど北ドイツに住んだことがある。当時、何をトチ狂ったのか、パン屋にあった広告を見てついつい電話をした先が、ハープ教室だった。何とか2年ほど苦しみながらも小さな子供達と一緒にハープを習った。
そのハープの先生が195cmの女性だった。背も高いがふくよかでもあり、彼女が覆いかぶさるようにして、私に手取り足取りで教えてくれる様は、きっとクマがネズミをとっ捕まえている風にしか見えなかったに違いない。
パートナーの友人、その彼も出身は北ドイツだ。
話が逸れ過ぎないうちに元に戻すが、彼は新しい恋人を私たちに見せたくてやってきたのだった。
私たちは彼の前の恋人もよく知っている。大変な美人な上に、ドイツ女性には珍しく、料理の腕もなかなかだった。さらに彼と同様に、とても個性の強い芯のしっかりした人で、私は好きだった。
彼と彼女が別かれていたなんて。。。
ドイツ人の全てがそうだとは決して言わないけれど、彼らは主張が激しい人たちなので、親密な関係が長続きしない。少なくとも私の周りのドイツ人たちはそうだ。
初めのうちは、本当に凝視に耐えないほど、仲が良い、というか、はっきり言って、ベタベタすぎる。
昨日の彼も、彼女を目の中だってどこにだって入れたいほどの可愛がり方だった。一時も手を離してなんかいられない!そんなアツアツぶりは微笑ましいが、私は頭の半分で
「いつまで続くんだろうか、このふたり!」とちょっと冷めた目でみてしまう。
そして2年もすると、互いに言いたいことは100%言わないと気が済まないのが性分のドイツ人カップルは、衝突を繰り返すようになってしまうのだ。
今回の彼女は、目立たないが優しい雰囲気の人だった。誰もが羨むほどの美人で個性的だった前の彼女と比べると、彼女は弱く、控えめな感じはした。
だけどきっと、個性と個性のぶつかり合いに嫌気をさした彼は、ほんわりとした優しさに包まれたかったのだろうなぁ、と彼らを目の前にして感じた。
どうぞ、末長く幸せが続きますように!
長く続くといえば、ビールの歴史は驚くほどに長い。
紀元前4世紀にはすでにメソポタミア地方でビールは作られていたようである。
ドイツでは、11世紀にビールの原料としてホップが使用されるようになり、15世紀には、粗悪なビールを排除するために麦芽とホップと水しか使わないよう、お触れが出された。
このお触れ「ビール純粋令」は今なお有効とされているということだから、驚きだ。
今日の紹介はネックレス。
ネックレスといってもただのネックレスではない。ビアホールで販売されていたか、記念品としてくばられたか、という希少な品。
メタル部分には”Bierhalle Bavaria”(ビアハレ・ババリア)との銘が刻まれている。ビアハレとはビアホール、ババリアとは南ドイツに位置するバイエルン地方を意味する。バイエルン地方のどこかのビアホールのことなのか、ビールで有名なバイエルン地方を名前としてとったのか、よくわからない。傍にある、細い棒状の物を引き抜くと、メタル部分が開き、とても小さなメモ帳が出てくる。
この棒状の物がペンだったらしいのだが、今は残念ながらメタルのところしか残っていない。
しかし、メモ帳はほぼ使われずに大変きれいな状態で残っている。
ビアホールの景品だとしたら、大変丁寧な作りをしたネックレスといえる。
50年代の品だろうか、とにかく珍しい一品、そして男女を問わず使えるところもなかなか粋だ。
「新しい彼女を連れて洋々とやってきた彼に、このネックレスはお似合いだなぁ、ほんとに。」
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