春になると、途端に忙しくなる。私は、仕事も持っている身なので、家事をこなすには、そう悠長に時間を使っていられない。それが、春から夏にかけては庭仕事も増えるので、家の中、庭をバタバタと走り回るようにして朝を過ごす。
私が、今のパートナーと知り合って間もない頃、お互いに趣味の話になった。
私は、自分の趣味を説明した。
ガーデニングは、日本にいたときから大好きで、若い頃はハーブにかなり入れ込んでいて、珍しいハーブなどを取り寄せたり、使いこなせもしないのに、様々な種類のハーブを庭で育てていた、と。
すると、彼はこう言った。
「ぼくも庭仕事がとても好きで、ハーブ講座をうけたこともあるよ!」と。
まぁ、なんて奇遇!二人でガーデニングができるなんて、ロマンチックだし、すてき!
実際に彼の家に住むことになってみると。。。
確かに庭のあちこちにハーブ類はあった。
しかし、だいたいこちらでは、このハーブ類は雑草のごとくはびこる。世話なんぞしなくても育つのだ!
そして極め付けは、私がここに来て、一度たりとも彼と一緒にガーデニングなどしたためしはない。
我が家には結構な広さの庭があり、芝生になっている。綺麗に切りそろえられた芝生は、大変美しい。しかし、その状態を保つには、週に一度は芝刈りをしなくてはならない。炎天下、電動でウィーンと動く芝刈り機を引いて歩くのはかなりきつい。刈った芝が芝刈り機の後ろに溜まっていくのだが、これを取り出して捨てるのも、かなりの重労働だ。だから、多くの家庭では、この芝刈りは男性の仕事になっているはず。
しかし。。。
我が家では私の仕事だ。
ウィーン、ウィーンと芝刈り機の音が聞こえている間は、彼は決して庭には出てこない。
音が止み、庭に静けさが戻ってきた頃に、彼はテラスにやおら現れてくる。
「あ〜!芝生を刈るときれいで、いいねぇ〜!」
そして、テラスのパラソルと広げながら私に言う。
「今日のお昼はテラスで食べようよ!何を作る?」
ガーデニングが趣味の紳士と一緒になったつもりがこれだ。。。
今日の紹介は、ベークライト製のペン皿。
50年代にオフィスや書斎には、普通にあったものだと思うが、今では滅多にお目にかかれない。特にペンたてが付いているのものは珍しい。
これはほとんど使われたことがないらしく、傷も少ない大変美しい一品だ。ベークライト製品は、本当に深みのある色合いと冷たさのない、それでいてプラスチックのような安っぽさとも無縁だ。使い込むうちにさらに色の深みは増していき、味わいが深くなる。
私のパートナーは、好奇心が旺盛で、いろんなアンテナが立ち過ぎているので、深く物事を追求するタイプではない。しかし、こと文房具にかけては、かなりの執着を持っている。
昨年、日本に戻った際に、彼が欲しがったのが「三菱鉛筆ユニ、HB」1ダース。文房具屋で尋ねると、お店の方も「?」という顔をされた。
そして、棚の一番上の誰にも見えないようなところから、埃にまみれた箱を取り出してこられた。
「最近は、鉛筆をダースで買う人は滅多にいませんからねぇ。鉛筆はいいですよね、もっと見直されるべきですよ!」
と、喜んでくださった。
彼が触手を動かした物は、結構な頻度で流行る、というなぜか不思議なジンクスがある。
鉛筆ブームはくるのか。そして彼が今使っているこのペンケースも、スポットライトを再度浴びる日も近いのかもしれない。
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