私は大変シャイな性格なので、人前で話したり人相手の仕事は本当に向いていない。できれば裏方の仕事をこなしたいといつも願っている。
しかし、神様は私に試練を与えたいらしく、どういうわけか今までの私の職歴は全て人相手の仕事だ。今は特にお客様を相手に物を販売する仕事なので、私の最も不得意とする分野に足を突っ込んでいることになる。
幸いなことに、パン屋さんとかカフェのように、毎日とてつもない数の人が訪れるわけではないので助かっているのだが、一旦お客様がいらっしゃると、私はスモールトーキングから始まって、説明をしたり、またお客様の話を聴いて、出しゃばることなく、それでいてウィットに富んだ、上品で賢い返答をする必要がある。要するに、私には荷が重い仕事なのだ。
話は変わるが、私は上記のように1日働いている。家事も頑張れる範囲で自分でするが、どうしても手が回らないのが、アイロンがけだ。
我が家にはアイロンがけを専門にしてくれる、ヨハンナが来てくれる。こちらは何から何までアイロンがけをする習慣がある。すべての物をクリーニングに出すわけにもいかないので、二週間に一度ヨハンナが我が家に来て、テキパキとアイロンを当てていく。
家事一般の手伝いを仕事としているのは、ヨハンナのように東欧の方が多く、マニキュアサロンはなぜかほとんど韓国の人たちが働いている、というように、国ごとの住み分けができてるように感じる。
とにかく、母国ではないここで、多少の不自由さをかんじつつも、みんなそれぞれ自分のできることを一生懸命にこなしているのだなぁと、自分のことも含めて感慨深く感じる。
自分の好みはシンプルで男性的なので、女性には賛同してもらいにくいのだけれど、たまには可愛い物にも目がいく。
これは、50年代の貯金箱。使った誰かが水鳥の絵柄以外を赤いペンキで塗り直したおかげで今に残っている。面白いのは絵柄の真後ろ部分にちいさな丸い穴が空いているところだ。上から硬貨を入れていくのだが、丸い穴には紙幣を丸めて入れるのだ。ちょっと古い貯金箱の多くがこうした作りになっている。言われてみればなるほど!と思う小さなことだが、賢いアイディアだと思う。
この貯金箱を手にした時、フッと温かいような何かを感じた。赤いペンキをこの貯金箱に塗った主が、私の元に来ることを許可してくれたような気がした。それ以来、私の手元にある。
貯金箱
1950年代
金属
h6,5 x ø7,0 cm














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