今日は、一気に春本番の陽気だった。春に思うこと。

 

春の日差しが暖かい

春の日差しが暖かい

 

私がドイツのこの街に来たのが十数年前の今日。

以前にデュッセルドルフには住んだことがあったので、さほどの緊張感や不安はなかった。そう、何となくやって来たから、いけなかったのかもしれない。

 

この街に住み始めてすぐに何度かの先制パンチを受けた。

 

私の住む街は第二次大戦時に大きな被害を受けたが、古い街並は復元されている。

私の住む街は第二次大戦時に大きな被害を受けたが、古い街並は復元されている。

 

一人で犬の散歩に出た。犬の世界では中型犬に分類されるらしい我が家の犬は、私にとっては十分すぎるほど大型犬だ。「こんな犬にひきづられたらたまったもんじゃないなぁ」と考えたその瞬間、私の目の前が真っ暗になった。

 

いきなり、転倒した。

 

我が家のすぐそばはとてつもなく大きな公園で、そこは野生動物の宝庫だ。野鳥から始まって、野うさぎ、リス、ハリネズミ、狐などなど、普通にうろうろとしている。犬にとって追っかけたい衝動を抑えるのは、それこそ無理というもの。

 

野うさぎを見つけた我が家の犬の突進についていけず、私は敢え無く転倒。さらにずるずると引きずられるままになってしまった。

 

こう書くと、おもしろそうだが、実はジーンズは膝から下は無残に破れ、むき出しの両膝は見るも哀れな状態だった。

 

散歩途中だった一人の中年女性がこの様子を見たらしく、立ち止まり、半泣きで地面から起き上がれない私を見て笑った。

 

 

そう、笑ったのだ。

 

 

助けの手を伸ばすわけでもなく、すぐそばに土まみれで傷ついている私を見て笑うとは、どういう神経なのだ。。。

膝の痛みなんかどこへやらで、私はすっかり衝撃を受け、涙が次から次へとこぼれ、本当に泣き泣き家に戻った。

 

 

それから数ヶ月間、「犬に引きづられ事件」のような、小さいながら悔しい出来事が何度か重なって、私のこの街の印象は最悪になるは、精神的に参るは、引きこもり生活へと落ち込んだ。

 

 

そんなある日に、知り合いの女性が私にポツリと言った。

 

 

「あなたからは負のオーラが出ているのよ。もちろん、いろんなひどい経験をしたのは悔しいだろうけれど、自分からこの環境を脱しないと、いつまでも同じようなことを繰り返すわよ。」

 

 

あれから、十数年。犬に引きずられそうになる毎日は未だに送っているが、この街で、結構満足して暮らしている。

 

蚤の市

今日は、抜群なお天気だったので、久々に蚤の市に出かけた。

春爛漫。

 

古いおもちゃもいっぱい。

古いおもちゃもいっぱい。

 

ものすごい出店者と人出で、買いたいものが定まらない。でも、この明るく賑やかな雰囲気はうれしい。

そこで見つけたのが、この籠入りのグラス。

 

Vichy

 

おじさんは、1910年代のフランスの品だと言っていた。楕円形のグラスには、Vichyと書かれ、その反対側には100グラムまでのメモリが打ってある。籠は、革の取っ手が付いていて、なかなか珍しい一品だ。

 

Vichy

 

Vichyといえばフランスの小都市で、ミネラルウォーターや温泉で有名だ。さらには、1940年から44年までの4年間、首都として政治の中心になったことでも知られている。

このグラスはビシーの有名な温泉水を飲むために作られた。目盛りがあるのは、処方箋に基づく温泉療法に利用するためといわれているが、お土産品としても販売されている。

楕円の変わった形と、Vichyの文字、目盛りはなかなか洒落ている。小さな花瓶にするもよし、涼しげにアクセサリーを入れておくもかわいい。

 

Vichy

 

 

温泉効果とはいかないが、氷をたっぷりと入れてウィスキーを飲むのもよいかな、と自分なりには思っている。

今夜は特にこの街に乾杯だ!