私の家族は、みなかなりの宵っ張りだ。
私の母は、高齢の部類に入るが、午前様になるまでテレビをみたり、自分の趣味に没頭するらしく、朝がなかなか起きれない、とよくこぼしている。
姉は、夜中の2時、3時になって、やおら「お風呂に入ろうか」と腰をあげる、横綱級の夜型だ。
そういう私も、「今日こそは早くベッドに入るぞ!」と思うのだが、夜になってくると、本をよみたくなったり、こうした文章をダラダラと書きたくなる。
こういうのは、遺伝なのだろうか。。。
夜遅くまで起きているので、当然ながら母と同じく朝が起きられない。
私には休みが日曜しかないので、日曜くらいゆっくりと、時間を気にせずに眠りたい。しかし、日曜日にこそ、用事が入るものなのだ。
今日は、郊外で月に一度のアンティークマーケットが開かれる日だ。蚤の市というには、少々値の張る物も多く、販売する人たちもプロが多い。
今は、冬なので本当は、こうした野外で開かれるマーケットは下火になるが、ここのところ暖かい日が続いているので、出かけてみることにした。
案の定、出品者も割合多く、そしてたくさんの人たちでにぎわっていた。
これは、私だけなのかもしれないが、少し蚤の市などのマーケットから遠ざかっただけで、目が泳ぐ。つまり、大量の物を前にして、集中できず、見ているはずなのに、見てない、状態になる。
蚤の市は、春から秋までがシーズンだ。毎週末どこかで開かれている。毎週、毎週どこかに足を運んでいると、自分の目指している物の方から自分に呼びかけてくるようになる。だから、目を皿のようにして探さなくてもよい。あっちから飛び込んできてくれる、そんな感覚を持つことができる。
昨年末から私は一度も蚤の市には出かけていなかったせいで、今日は、自分の目や頭が慣れてくるまで、全く物が見えてこなかった。
それを助けてくれたのが、なじみのおじさんだ。
このおじさんについては、ずいぶん前にブログで書いたのだが、本当にどこのマーケットでも会う。
おじさんからすると、私は「どこにでも出没する変な日本人」なのだそうだが。。。
彼の良いところは、私が買うか買わないかは全く二の次で、彼のお宝を見せてくれるところだ。
シルバーの美しい婦人用のバッグ、大変手の込んだ彫り物がある旅行用の時計、珍しいネックレスなどなど。もちろん値の張る物ばかりだが、実に趣味がいい。おじさんから、こうした物を見せてもらえると、心が躍り、目がシャンとするような気がする。
そのおじさんが、
「大きな声では言えないけれど、秘密が手にはいっているんだけど。。。」と怪しげなことをつぶやいた。
それが、これだ。
1930〜40年代のシルバーと七宝のブレスレット。
大変細かな国旗のような物が描かれているのだが、問題は、その一つの旗。
ハーケンクロイツ(ナチスドイツの鉤十字)。
1933年にヒットラー内閣が総選挙で勝利をしたことを受け、この印の旗は、国旗に準じる旗として様々な場所に掲げられた。1935年には、正式にこのハーケンクロイツ旗が国旗とみなされ、1945年にナチスドイツが降伏するまで使用された。
戦後から今日まで、このハーケンクロイツを公に製造したり、公共の場で使用することは禁じられている。公衆扇動罪で処罰の対象になるらしい。こわい!
おじさんが「秘密」といったのは、こうした理由からなのだ。
もちろん、個人使用や、収集はこの限りにないので、私の手元にやってきた。そして、製造禁止がうたわれている以上、このブレスレットは、1933年から45年までに作られた、と100%保証できることとなる。
日本でこれをつけて歩いても、問題にはならないが、私はこれをつけて街を闊歩する訳にはいかない。
こうした蚤の市などのマーケットでは、友人と一緒に回ってそれぞれのお店をひやかすか、知り合いの売り手とああでもない、こうでもないと話して笑いあう、これが何よりの楽しみだと思う。
そして、最後に戦利品を手にビールを飲みながら語り合うのが、もちろん何よりの喜び。
No Comment