ドイツの製品の品質の高さは、誰もが良く知っている。
私が日本に帰ると、いつも一番に感じることがある。日本の家のドアとか窓とか、家の作りが何ともちゃちなのだ。どうも何もかもがハリボテのように感じる。
私の住んでいる家は、パートナーのおじさんが60年前に自分でコツコツと作った家らしい。だから、床にビー玉を置くとコロコロと転がっていく。壁が傾いているところもある。けれど、分厚い壁、無垢の木の床、どっしりとしたタイルなど。。。重厚そのもので、パートナーがドスンドスンと踊ってもビクともしない。
先日、かなり大きくて貴重なものをアメリカまで送ることになった。われものでもあるし、キチンとした箱を業者に作ってもらうことにした。日本ならば、すぐに作ってもらえるのではないかと思うが、ここでは2週間かかるという。
はて、どうしてそんなに時間がかかるのだろう。。。
2週間後。
我が家にその箱が届いた。
屈強なおじさん二人がかりで運んできた。私などは押しても引いてもビクともしない。さらに、注文した大きさの二倍はあるかという大きさに仕上がっていた。
これでは、時間がかかるはずだ!
中身も確かに大切な物なのだが、これでは外側の方が価値があるのではないかというほどだ。
これがドイツのクオリティ。だけど、どこかちょっと間が抜けている。
まぁ、私もずいぶんとトンチンカンだから、このドイツを居心地良く感じるのかもしれない。
今日紹介するのは、男性の髭剃り用のナイフ。古い映画でセクシーな男性が半分曇ったような鏡の前で器用に使っているようなナイフだ。シェービングナイフというらしい。
このナイフは蚤の市でみつけた。
おじさんが何ともやる気のなさそうな感じでお店をだしていた。大げさでなく、まぁガラクタばかり。その中からチラッとベークライトの黒い色が光ったような気がした。
私がその黒く光った物をガラクタから引き出すと、強面のおじさんはニカっと笑った。
「あんたが使えるような代物じゃないよ!これ買って帰ったら、あんたのパートナーはビビるよ!」
Wald-Solingenの銘が刻んである。ゾーリンゲン地方で作られた物で、ヘンケル社ではない。多分40年代の物だと思うが、大変きれいで、また刃は鋭い。
Wald-Solingenシェービングナイフ
1940年代
16cm(折りたたみ時)
鋼鉄、ベークライト
確かに、家でパートナーに見せたら、
「こういうのを手に持っただけで、ゾクゾクする。君がこういうものを持ってるってことを知った今は、もっとゾワァとする。」
シェービングナイフで、ザクザクと髭を剃るのは、映画だけの話なのだろうか。。。
No Comment