一般的に言って私の仕事は、きれいな洋服を着て、華やかな社交界の中で「おほほ!」などとやってる楽勝な、そして鼻持ちならない仕事、みたいに思われている。

 

派手目な仕事だが、私は実に地味に毎日働いている。

派手目な仕事だが、私は実に地味に毎日働いている。

 

はたから見るのと、実際は案外ちがうものだ。(もちろん、「おほほ!うふふ!」とお客の間を泳ぐようにやっている人もいるのかもしれないが。。。)

私の仕事の半分は、大工作業みたいだし、力仕事でもある。

ドリルで壁に穴を開けたり、釘打ちしたり。。。今の仕事で食いっぱぐれても、家の修繕屋さんにでもなれるような気がする。(本気で考えてたりする。。。)

 

だけど、私の仕事のもう半分は、人との付き合いだ。

多くの人たちは、私の仕事のここの部分しか見ていないので、「なんか、おしゃれっすね!」なんて見当違いなことを言う人も出てくるわけだ。

だいたい私は人付き合いが苦手なので、釘打ちしたり、ドリルでガガガァ〜と穴を開けている方が100倍楽しい。

 

人付き合いと言っても仕事なのだから、まあ八方美人的な付き合いをしていかなくてはならない。

仲良くなりすぎて、さらけ出すのもダメ。

かと言って、よそよそしすぎるのも問題だ。

とにかく公平に、ほどよく親しく。。。

ただでさえ付き合い下手な私に、これは超ハードルが高いよなぁと、未だに思っている。

 

家で料理を作って、人を呼ぶにはそれなりの準備は必要。

家で料理を作って、人を呼ぶにはそれなりの準備は必要。

 

苦手なことは、自分の土俵で戦うのが一番。

 

私は、上得意のお客様を家によんで、食事を一緒にすることにしている。

これだけで好感度プラス10点!

同じ釜の飯を食べる、と言うではないか!

気取ったレストランなんかで「おほほ!」なんてよりずっと気が楽だ。

 

まぁ問題と言えば、人を招待するにはそれなりに準備もいるし、料理も作らなくてはならない。

まぁどちらにせよ、楽して仕事はできない。

 

そこで今日は、家にお客様を招待するこころえ(そんな大したもんじゃないんですけど。。。)といくつか外国人受けする料理やポイントをお話してみよう。

 

 

初めてのお客様

 

その方が、どんな趣味を持っていて、また今の興味はどこにあるかをさりげなく知っているのは大事なポイント。

相手を知れば知るだけ、こちらの引き出しは多くなり、こわ〜い沈黙を避けることができる。

さらにはどんな料理が好みか、何は食べられないか、などなど事前の食に関するリサーチも必須かも。

とにかく、人の数だけ好き嫌いがある。

マッシュルーム、エビ、グリーンピース、かぼちゃ、お肉、魚。。。

本当にみんな、かなり嫌いな食べ物にこだわりがある、笑。

中には、食物のアレルギーを持っている方もいて、(たとえば、ナッツアレルギー)せっかくの招待が大事件に終わることも考えられるではないか。

リサーチ、リサーチ。

 

何度目かのお客様

 

何度目かのお客様の場合は、趣味も好みも把握している。会話もスムーズに進むはずだし、気持ちの良い時間が過ごせるはず。

ひとつだけ問題なのは、「この前何作って食べたんだっけ???」だ。

私のレパートリーは限りなく少ない。料理本とにらめっこして作る料理は面倒なので、なんとか安直に済ませたい。

お客様手帳、みたいなのを作らなきゃ、と思っている。

 

招待・まとめ

 

お客様のお酒の好みも知っていると良いかも。

お客様のお酒の好みも知っていると良いかも。

 

お客様情報をまとめるべし!

趣味、食べ物の好き嫌いアレルギー

お客様ごとにリストを作ろう。

いつ、何を一緒に食べたか、どの料理の評判が良かったか。お酒類の嗜好もあれば役立ちそう。

ついでに、お客様の食べ方なんてのも書いておくと、参考になる。

たくさん食べたい人だとか、ちょっとずついろんなものを食べたい人だとか。。。食べ物よりお酒類が大事とか。。。

 

 

さあ、料理の紹介。

 

 

私はドイツに住んでいるので、どうしてもお客様は日本料理を食べてみたいなぁ、と内心思っているドイツ人だ。

日本人はテレビで外国情報をいっぱい持っている人が多いが、ドイツ人は意外に日本のことを知らない。

毎日お寿司を食べている、などと、とんでもないことを考えている人もいるくらいだ。

だから、日本の料理を作ってもてなす、と言ってもそう敷居は高くない。

「こんなのも日本料理よぉ〜!」と自信をもって紹介すれば良いだけだ。

 

懐石風、あるいはタパス、ちまちま料理をたくさん。

 

ちょこちょことたくさんいろんな種類の食べ物があると、誰だってうれしくなる。

ちょこちょことたくさんいろんな種類の食べ物があると、誰だってうれしくなる。

 

懐石風といっても、料亭のような高度で美しい料理は私には、無理。

それから、お客様に肩苦しさを与えたくもない。

 

だから、比較的馴染みのあるものをいろんな種類作って出す。

お豆腐、お味噌、さつま揚げのような練り物など、日本の食材を使って少しずつ味見をしていただく感じに出せば、珍しい上、口に合わなかったとしてもさほどお客様も苦にならない。

おいしければお代わりをじゃんじゃんしてもらえば良い。

 

しかし、日本食材ばかりだと、やはり慣れない味で少々疲れる。

 

 

チーズのこってりは、こちらの人には必須かも。。。

チーズのこってりは、こちらの人には必須かも。。。

 

そんな時のために、ヨーロッパの人たちが普段食べ慣れているチーズやクリーム味も間に挟むように心がけている。

ちょっと箸休め、みたいな感じで。

 

懐石風(あるいはタパス風)は、いろ〜んな料理を食べることができるので評判は上々だが、しょっちゅう準備のために席を立たなくてはならず、自分も一緒になってワイワイやるってわけにいかないのが玉にきず!かもしれない。

 

 

お寿司

 

 

私の料理の腕では、こういう風にはいきません。。。

私の料理の腕では、こういう風にはいきません。。。

 

外国人に意外にも人気なのが、いなり寿司

袋に入った形状が面白いのと、甘い油揚げの味がお寿司に沁みていて、ちょっと味が濃いところがウケるようだ。

ど〜んと作っても、あっという間になくなること、請け合い。

 

ちらし寿司も色とりどりできれいだが、どうせ作るならば、ケーキ型を使って押し寿司にするともっと華やかで目を引く。

 

お寿司の中では、「手巻き寿司を個々に作りながら。。。」を私はオススメしない。

とにかく、ドイツ人は不器用を絵に描いたようだ。(器用な人ももちろんいるのだろうが、私はまだお目にかかったことが残念ながらない。)

一つの手巻き寿司を完成するまでに、異様なほど時間はかかるは、テーブルはご飯粒だらけになるは。。。悲惨な光景が繰り広げられるのが目に見えるようだ。

我が家で手巻き寿司を出したことはないが、一度日本の寿司職人さんが「上手な巻き寿司の作り方」講座を開く、というので、私は早速応募した。

当日出かけてみると、私以外みなドイツ人だった。

最終的には、海苔はふにゃふにゃ、ご飯粒の形状をとどめていないような。。。巻き寿司もどきができていた。

こどもの粘土遊びのほうがずっと安心してみていられる。。。

食卓が見るも無残なほど汚れるのを覚悟なら手巻き寿司もまた楽しいかもしれないが、私は遠慮したい。

 

お味噌汁をつけて、美味しく食べてもらいたいが、こちらの人は、日本人のように「三角食べ」ができない。ご飯を食べて、お味噌汁を、そして主菜を。。。という三角食べは、日本の文化だ。

お味噌汁はスープなので、大抵の外国人はお寿司と味噌汁を出しても、先にお味噌汁をさぁ〜と食べてしまう。

まぁ、それぞれの文化だから、私は何もそれについて講釈を垂れたことはない。まぁ、あったかいうちにお味噌汁だけを純粋に味わうのも、味噌汁ツウみたいじゃないか!とすんなりと受け入れている。

 

鍋物

 

秋から冬にかけては鍋物もいい。

仕事の後、誰かを家にお呼びするときは、材料さえあればすぐに始められる鍋物は手軽で助かる。

一つのお鍋をみんなで囲むのだから、初めてのお客様には向かないが、何度といらした方なら、楽しさ倍増だと思う。

やはりここでも純日本風ではなくて、出汁をスープにしたり、味噌と半々にしたりと、隠し味的に洋風をプラスするとウケが良いような気がする。

 

日本風カレー

 

肩肘はらないお客様には日本のカレーは大人気。

インド風のカレーしか知らないこちらの人たちには、日本のカレーは目から鱗のおいしさのようだ。前にも書いたのだが、(在独日本人のドイツ化が止まらない3つのこと。)サッカーのW杯のようなときは、みんなでバグバグ日本のカレーを食べて試合の行方に目を見張る。

 

 

 

料理・まとめ

 

料理はやはり気持ちですっ!

料理はやはり気持ちですっ!

 

外国人のお客様のときは、日本の味を楽しんでもらうが、ちょっとだけ西洋風をプラスするとウケが良い。

懐石風・ がっつり日本的にしないで、チーズやクリーム系を入れてあげるとホッとしてもらえる。

お寿司・ いなり寿司は一度は必ず出してみて!食らいつきます、笑!

鍋物・ 出汁をちょっぴり西洋風か、味噌仕立てにする。基本、こちらの人たちは味濃いめが好き。

日本のカレー・ 外国人にはセンセーショナルな味らしい!

 

今日の紹介

Stiftschale

 

ベークライトのペン皿。

深い赤がとても美しい。

鉛筆や万年筆などを使わなくなった。自分で手書きすることがなくなり、久しぶりにペンを持って自分の名前を書いたら、自分じゃないみたいな字になった。

ペン皿などいったいどのくらいの人がまだ使っているのだろうか。

 

Stiftschale

 

私のパートナーは文具が好きだ。

肌身離さず携帯を握りしめて暮らしている彼だが、手書きの良さだけは大事にしているようにみえる。

私がこのペン皿を見つけて帰ってきたその日に、すぐ、彼に取られてしまった。

しかし、彼の愛着のあるペンや、使い込まれて小さくなった消しゴムが入れられたペン皿をみて、

「いいところへお嫁にいったね!」

と娘を送り出した母のような気分になったのだ。

 

前にもベークライトのペン皿について書いています。ぜひ、読んでみてください。ー> 50年代、ベークライトのペン皿