私は、写真を撮るのがとても好きで、旅行などに行くとなかなか歩みが進まない。
裏通りの生活の香りがプンプンするような場面、ちょっとおかしくて、せつなくて「なんで?」と思えるようなものを見つけるのが好きだ。
そのせいで、華やかな観光地の一本裏通りなどを歩いていると、面白いものがいっぱい見つかり、その都度止まっては写真に撮る、そしてパートナーに遅れをとらないように小走りで追いつく。
それを繰り返しているせいで、ロマンチックに彼と手をつないで歩いたり、肩を寄せ合って街並を見る、なんてことはしたことがない。
パートナーは私の写真好きをよく知っているので、一々私を待つなんてこともしないし、私も「待ってよぉ〜」甘えることもない。
とにかく、我が道を行く、旅行なのだ。。。
パートナーの大変親しい友人がパリに転勤になり、遊びにおいで!と誘いがかかった。
その言葉に甘えて、私たちは3泊4日のパリ小旅行をした。
さらにパートナーの友人は私たちが来るので、わざわざ自分も休暇を取って付き合ってくれた。
だが、私とパートナーのあまりに違う行動様式に板挟みになり、あたふたとしているのがとてもおかしくもあり、また申し訳なくもあった。
私は、みんなが「どうしてこんなところで写真を撮るの?」という場所で、しゃがんだり、はいつくばったり、万歳をして写真を撮っている。
その間、パートナーはずんずんと全く後ろにいるわたしのことなどおかまいなしに歩いていく。
そして、友人はといえば、私の存在を気にして後ろを何度も振り返り、そして前をいくパートナーに追いつこうとして、追いつけない。
とにかく、3人がバラバラに、全然違ったテンポで歩くのだから、会話もままならない。
さらに彼は、ヨーロッパ人には滅多にいない気配りの人なので、私たちを観光名所に案内してくれる。そこでは全く私が写真を撮らず、さっさと歩く。そして、パートナーは懸命にシャッターを押している。
とにかく、カフェや食事の時間以外、私たちは同じ場所を歩いているのだが、別行動をしている三人組だった。
多分友人は、私たちに付き合って大層疲れた数日間を過ごしたに違いない。かわいそうに。。。
パリでは小さな蚤の市にも出かけた。
今回紹介するのはその蚤の市で見つけたフランス製のカメラ。
小さなボックスカメラで、多分1940年代から50年代の物。少し、古びてはいるが、多分ほとんど使用されなかったカメラのようだ。
友人はフランス語もペラペラなので、売り手のおじさんの話をことごとく通訳してくれたが、とにかく通訳が入るともどかしく、お終いにはおじさんは80%のフランス語混じりの英語で私に直接説明をしてくれた。おじさんの心意気を感じた私は、50%ドイツ語混じりの英語で応戦した。
おじさんは最後に私の肩を抱きよせ、私の背中をバンバン音がするほどに叩いて、
「楽しかった!楽しかった!」と満面の笑顔で言った。
おじさんの話では、フィルムさえ入れれば、今なお使えるそうで、一度このカメラで撮影をしてみたい。
きっと、ドイツの裏道を写してもパリの香りがするに違いない。
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