先日、洋服やあちこちの引き出しを整理し始めた。
日本では断捨離とか流行っているようで、みなさん物のない、すっきりしたシンプルな生活を楽しんでいらっしゃる。
父が亡くなってから、彼の持ち物を整理した。
とにかく、すごい量だった。
着るものにも持ち物にもこだわっていたので、大量だったし、読書家だったので、本の量も半端なかった。
父の場合、私たち兄妹が彼の持ち物を処分したり、家族で分けて父の形見としてもらったり。。。そう、片付けてくれる人がいたのだ。
私の場合、パートナーが私より長生きをしてくれれば、バッサリとすべてを捨てくれるのだろうが、彼が私より長生きする保証はどこにもない。
つまり、私は今から少しずつ処分するべき、と思い立ったわけだ。
しかし、洋服、バッグ、万年筆などなど、結構長く大事にしていたものを燃えるごみや不燃ゴミに出すのは忍びない。
というわけで、ebayに出品することにした。
ebayは、1995年にアメリカで設立されたオークションサイト。
2007年には世界28カ国、正規登録者数2億3000万人、出店数十数億、というマンモスオークションサイトに成長した。
ドイツのebayサイト: http://www.ebay.de/
ebayは時々私好みの古い雑貨を見つけることができるので、ちょくちょく利用している。
今回は出品してみた。
出品する。
とにかく、出品方法は情報さえ揃って、そして綺麗な写真さえあれば、意外に簡単だが、一仕事なのは確かだ。
もちろん、その情報をきちんと出さなければ、クレームになりかねない。私は日本のヤフーオークションのシステムを知らないので比較は難しいが、多分同じような煩雑さだろう。
洋服でいえば、種類(ワンピース、ブラウスなど。。。)から始まって、洋服メーカーの記載も大事、着着丈や身幅などの計測はしておくべきだし、生地の素材、柄、色など、情報が多いほど喜ばれる。
画像は12枚まで無料。
何日間のオークションにするか、いつ、何時からその商品を公開するか、ドイツ国内対応か、世界対応かなどなど、様々な内容をテキパキと決めて、7つの商品をアップして、
「ふぅっ!」
3時間もかかっていた。
オークションが始まる。
私は、日曜日の9時30分に終了するように設定をした。小さな子供は寝てしまっているので、じっくりと値段の成り行きを追える。
日曜にあるドイツの国民的テレビシリーズの時間も終了している。
時間を設定するには、料金がかかるが大した金額ではない。ここは狙いを定めて、少しでもより高い金額で入札をしていただきたい。
しかし、洋服はやはり出品数が膨大なので、ブランド品など以外は思ったより値段は上がらない。
反面、私のように小さいサイズ(日本人サイズでは私は普通だが、ドイツではかなり小さいサイズになる)は、探している人も案外いるのだろう、誰にも競り落とされなかった、ということはなかった。
落札者が決まる。
ここでホッとしていられない。
落札をしておきながら、入金をしない人も結構いる。
その人たちに支払いを督促するメールを送ったりにも対応するのだから、本当に割りに合わないような気がする。
発送
発送は入金を確認したら、とにかく迅速かつ丁寧なパッキングを心がけるが、これまた、みんなが一斉にドンッ!と支払いを済ませてくれるわけではないので、発送も五月雨式。。。
全てを発送し終わったら、脱力感。。。
一週間にわたって、ebayに振り回された。
このサイトで、個人商店のようなのを出している方々の忍耐力には敬服する。
クレーム
クレームや返品は受け付けない、としっかり太字で明記しているのに、それでもいちゃもんをつける人がいる。
Tory Burch (トリー・バーチ)の濃い濃いピンクのバレリーナを出品した。
派手すぎて、私なんかが履いて歩いたら、道化か血迷ったおばさんにしか見えない。ほぼ新品同様。
落札者は私にメールをよこした。
「ピンクじゃなくてフクシアでしょ。私はピンクだと書いてあったから買ったのよ。」
冗談じゃない、12枚も画像を載せて、「濃いめのピンク」と明記したじゃない。
しかし、ドイツ女性は、こんなことでは全く怯まない。
徹底抗戦をしかけてくるのだ。。。
もう十分お分かりかと思うが、ebay出品は割りに合わないどころか、神経が磨り減るのだ。
今日の紹介は、結構地味目の通好み。
Kathrein (カトライン)と刻印のあるベークライト製の灰皿。
低い三本足が付いていて、そのフォルムをみると50年代の品だとすぐにわかる。
ブラウンの地色に金のまだら模様が大変美しい。
Kathrein (カトライン)は、ミュンヘンにランプ用などのオイルを売るお店として1829年に開業した。その後、エキゾチックな香辛料を扱ったり、コーヒー豆などを扱い、商売を拡大していったようだ。
1800年後半になってから麦芽飲料の工場をつくって大いに繁盛。
しかし、時代の波に飲まれるようにして1998年に店を閉じる。
この麦芽飲料は、私のパートナーの世代には馴染みが深いらしい。
彼はこんな話をした。
彼のおばあちゃんは、麦芽飲料がいかに栄養価が高く、健康的かという情報をどこからか仕入れてきた。
その日の夜から、彼女は大事な孫に寝る前、必ずこの麦芽飲料を飲ませたのだという。
「寝る前に毎晩飲まされた僕は、虫歯だらけだったし、クラスのみんなから『デブ!』と呼ばれていた!」
栄養価が高い麦芽飲料は、こどもには良いとは思うが、たらふく夕食を食べた後、そして寝る前にこんなの飲んだら、太ります!笑!
彼は、Kathrein (カトライン)が店を畳んでしまったことを大いに歓迎しているはずだ。
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